損保経営者が薦めない本
『スノーデン監視大国日本を語る』集英社新書
岡本敏則
Edward Snowden(1983年生)、世界を震撼させた男。NCA(National Security Agency アメリカ国家安全保障局)、CIA(Centralelligence Agency 中央情報局)、DIA(DefenseIntelligence Agency アメリカ国防情報局)の元情報局員。2013年6月、米国政府が無差別監視をしている実態を暴露。「スノーデン・リーク」と言われています。
「2017年4月、世界は、アメリカ政府が日本政府にXKEYSCORE(エックスキースコア)と呼ばれる新たな監視技術を秘密裏に提供していた事実を知ることになりました。XKEYSCOREは、大量監視によって集められた数兆のコミュニケーションを探索することのできる世界でも最先端のシステムです。これを用いることで、地球に張り巡らされたインターネットを飛び交うあらゆる人々のコミュニケーションや、ポケットやハンドバッグのなかで音もなく持ち運ばれる機器の間で交わされるコミュニケーションを監視することが可能となります」
「XKEYSCOREは意味ある単語ではなく単なるコードネームです。衛星電話、衛星インターネット、無線周波を経由するコードレス電話などの情報をシステム内に取り込みます。東京の地下に施設され、日米、日豪、日中間など、隣接するあらゆる二国間をつなぐ固定の光ケーブル経由の情報をもです。政府は軍事基地などで、空気中に漂い、あるいはケーブルを流れるあらゆる電子情報を集めます。」「米国は同盟国との関係を3つに分類しています。第1は自国、第2は同じ伝統文化を持つオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、英国。彼らはセカンド・パーティーと呼んでいます。サード・パーティはその他の同盟国。ドイツがセカンドにしてくれと頼んだが米国はNOと答えました」
スノーデンが危惧しているのは「世界中の人々が、安全と引き換えに少なくとも自由の一部を犠牲にしてもよいと考えている」ことです。日本も多くの人が安全と自由を引き換えにしてもよいと考えているでしょう。日本では、警察が設置した監視カメラの映像を入手できるのは勿論のこと、民間の監視カメラの映像の入手や、個人の戸籍や住民票情報、カルテ記録、銀行口座の情報、電話の通信履歴の入手、逮捕されていない被疑者の指紋や顔写真、DNA情報の収集が、すべて任意捜査として行われています。
また、フェイスブックやスナップチャット、ツイッターを使うということは、監視可能な対象になることを意味します。
本書は2017年10月1日に行った「公益社団法人自由人権協会(JCLU)70周年記念シンポジウム」を書籍化したものです。メインは国谷裕子氏(キャスター)との対談です。