保険募集・イマムカシ(その1)

                    鈴木 健


                      old soldiers just fade away                                       


 祖父から私まで三代にわたって保険募集を生業としてきた。私自身は日動外勤社員から、東京海上日動の代理店・募集人と所属も肩書も変わった。向こう一年以内に四代目(甥)にバトンタッチをすべく、いま、私が培ってきたすべてを引き継ぐつもりでがんばっているところだ。

 

 私のポリシイは「地域の人たちとの濃密な人間関係を築き上げ、それを基にした保険募集」であった。そのことを次代にも繋げていきたい思いは強い。しかしいま、そうした募集方式は必ずしも奨励されているわけではない。ビジネスライクで効率的な顧客対応だけが求められている。

 

 地域における助け合い、相互扶助の精神のなかで保険募集人が果たしてきた役割が消えようとしている。それは、日本社会における人間同士の結びつきとか、信頼関係が希薄になっていることと、軌を一にしているように思えてならない。なにか、大切なものが忘れられてはいないだろうか。 

 募集環境がまったく様変わりになる中で、私は今「old soldiers just fade away」の心境だ。その思いをこれから毎月、一言ずつ綴ってみたい。