斎藤貴男「レジスタンスのすすめ」


 

 

        減少するコンビニ

 国内のコンビニエンスストア店舗が減少に転じた。

 日本フランチャイズチェーン協会の調べによると、昨年末時点の5万5620店は、前年同期比で0・2%減。比較できる2005年以降で初めて、と報道にあった。

 個人的には増殖する一方のコンビニに辟易していた。だが、それはそれとして、今回の報には、つくづく「行き詰まり」を感じたことである。

 

 店舗減少の原因は明白らしい。人口が減っていく中で、バイト店員や客の奪い合いが激化し、各チェーンの本部が出店戦略の見直しを迫られた――。 コンビニの世界ではこの間、さまざまな問題点が浮上している。24時間営業の是非。本部社員による無断発注の横行。繁盛店があると本部が近隣に新店舗をオープンさせ、共食いさせる「ドミナント戦略」の非道…。本部による加盟店オーナーの奴隷的搾取が、昨年は特にクローズアップされた。

 

 どれも突然に降ってわいた問題ではない。公正取引委員会が幾度も、常態化した本部の「優越的地位の濫用」に対して警告を発してきている。それでも従来、社会問題化するまでに至らなかったのは、オーナー側の不満を吸収して余りある利益が確保され、あるいは実態を一般に伝えるべきマスコミが、チェーン各社が投じる莫大な広告マネーの前にひれ伏していたこと等の理由による。それが、ついに崩れつつあるのだ。

 

 「行き詰まり」は今や、コンビニだけでなく、あらゆる領域に広がっている。経済も、政治も、文化も、人間一人ひとりの生き方さえも。多様性を謳いつつ、実は限りなく中央集権的な主従関係に収斂されてしまうコンビニの不条理は、いずれの領域にも共通する現実だ。

 とすれば、コンビニの未来は社会全体の未来に通じるのではないか。シンボルとしてのコンビニ改革を期待したい。