川井塾講義録 


        国士無双狙いの第一打は?

 

 南一局の西家。第一ツモが東。ドラは5ピン。10種11牌で国士無双のリャンシャンテンである。

 国士無双を目指すなら出来上がりのメンツとはいえ4・5・6ピンは不要牌。当然、切っていくわけだが問題はその順序だ。いきなり第一打でドラ周辺の4・5・6ピン切りはいかにも常軌を逸した打ち方に見え気が引ける上に、他家の警戒心を高める。

 というわけで、この打ち手が第一打に選んだのは雀頭を一時的に崩す一万。形式的にはリャンシャンテンから三シャンテンへの後退だが、雀頭候補なら10種類もあるから実質はリャンシャンテンだというわけである。国士無双の「匂い消し」という意味もあってなかなか味のある一手と思えた。

 ただ、結果から言えば、この一万打が役満を逸する原因になった。下段図は7巡目の手牌、ここで対面から九万が打たれた。一直線に打っていれば4ピンの代わりに一万があったはずである。結局そのまま終局となった。

 しかし、わたしはこの打ち手を尊敬したい。一直線に国士無双を目指していたら、役満ゲットだったではないか、と評するのは簡単だが、その直線思考は他家をリスペクトしない唯我独尊的打ち方で奥行きがない。麻雀は4人で相互的に創り上げる知のゲームであり、そこには見えない四人の「会話」「知性」が交差する。無味乾燥な「めくり勝負」に堕してしまってはつまらない。これは含蓄のある「上がり逃し」だったと思う。

 


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(詰碁) 九段 石榑郁郎

 

 

「黒先」

 白の腹中にくさびを打ち込んで無条件に仕留めます。

 

 

 


 

 

(詰将棋)  九段 西村一義

 

馬がよく働く…。(持駒なし)

(10分で2段)