「働く」はみんなのもの

 

    3年目のガラガラポン

     

    ジャーナリスト 竹信 三恵子


 労働問題、といった時、公務員はなんとなく枠外におかれがちだ。だが、労働力を提供して生活を立てている限り、公務員も多くの労働問題を抱えている。

 中でも深刻なのは、短期の契約で失業の不安にさらされ続け、賃金も年収200万円行くか行かないかでありながら、行政の一線を担う非正規公務員だ。

 そんな自治体非正規公務員の多くが「1年契約の公務員」である「会計年度任用職員」に転換され、今年で3年目を迎える。

 2020年度にスタートしたこの制度は、当初から論議を呼んできた。だが、今年度はその奇妙さをさらに際立たせることが起きようとしている。「3年目公募」問題だ。

 「3年目公募」とは、1年契約を2回更新して3年目に達した職員を年度末に一斉に雇い止めし、公募し直す手法だ。

 会計年度任用職員の多くは、長期に必要な仕事を「1年しか仕事がない職務」と読み替えられている。この建前と実態を折り合わせるため、2回は契約を更新して3年間働かせ、「応募したい人に公平な機会を与える」を理由に、いったん全員をクビにして公募し直す。

 どのように実績を上げていようが、再度応募しなければ継続的には働けない。先行して似た制度を実施している国の機関、ハローワークでは、その時期が近づくと、不安から神経を病む職員も生まれている。

 これは一種のパワハラでは。そんな疑問から、私はネット記事でこれを「パワハラ公募」と命名した。

 法律に「3年目でクビを切れ」とは書いていない。それなのになぜ、この3年目のガラガラポンが起きようとしているのか。「会計年度任用職員」という制度のさまざまな不思議が、そこから見えて来る。