「働く」はみんなのもの
「会計年度職員」の不思議。「前進」のはずが不人気
ジャーナリスト 竹信 三恵子
前回は3年目で一斉雇い止めして募集し直す奇妙な手法について述べた。その理由を考えるために、まず会計年度職員が生まれた経緯について押さえておきたい。
先日、ある雑誌編集長に言われた。「会計年度職員制度って前進と言われていたのに、不人気ですよね」
非正規公務員は、1980年代以来の自治体行革の公務員削減の中で、行政サービスの需要の増加という矛盾に対応するため、増やされてきた。
公務員には、不当な免職を恐れず公正な行政ができるよう、恒常的な仕事には常勤をあてることや、生活できる賃金などが保障されている。その中で、低賃金の有期職員を確保するために使われたのが、法律の拡大解釈だった。
例えば、「非常勤職員」は、校医のように、学校の健康診断などの恒常的には必要ない専門的業務のためのボランティア的な存在として規定された。それを図書館司書やDV相談員など恒常的な仕事に適用した。
そんなご都合主義の拡大が、「原則1年有期の公務員」として法的に整理されたことは、「闇を表に」という「前進」ではあった。
不安定雇用へのお墨付きとも言えるが、同時に期末手当や退職手当、福利厚生、休暇などが約束されたことが期待を高めた。
だが、ふたを開けてみると、低待遇の固定化ばかりか、待遇が悪化する例まで出てきた。退職手当が支給されるのはフルタイム会計年度職員だけだが、初年度の総務省調査ではパートが9割近くに達した。
期末手当でも、月々の賃金を減らしてその分を期末手当に回すという詐欺めいた手法が続出した。
これらは会計年度職員制度のどこに根差しているのか。3年ごとの一斉公募も含め、検証していきたい。