安倍晋三元首相の銃撃事件を機に自民党と旧統一教会(統一協会)の密接な関係が連日報じられています。飯島滋明名古屋学院大学教授(憲法)は「自民党が主張する改憲論が旧統一協会の影響を受けていないか、自民党を徹底的に追求し、自民党に説明責任を果たさせることが必要」と強調します。
●自民党との濃厚な関係
いま、自民党が旧統一協会との濃厚接触政党であることが問題になっていますが、憲法改正でも自民党と旧統一協会は濃厚な関係にあります。
ジャーナリストの有田芳生氏によれば、今年の参議院選挙でも憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を獲得するため、旧統一協会は自民党、さらに維新の会や国民民主党も支援していました。3分の2の発議要件獲得の一因は旧統一協会の支援にあります。
憲法改正運動では「UNITE(ユナイト)」という団体があります。安倍自公政権下で安保法制制定の動きに反対する学生集団「SEALDs(シールズ)」が結成され、各地で活動しました。シールズに対抗するとして、保守的立場の学生たちがユナイトを結成。安倍政権支持、憲法改正を打ち出して各地で活動しました。ユナイトは旧統一協会の団体で、国際勝共連合のホームページで紹介されています。
●改憲論への影響否定できず
内容面でも自民党の憲法改正論は旧統一協会に有利になる主張をするなど、旧統一協会の影響を否定できない内容になっています。
憲法20条では「いかなる宗教団体も、…政治上の権力を行使してはならない」とされています。一方、2012年の自民党憲法改正草案では「政治上の権力を行使してはならない」の文言が削除されています。こうした憲法改正が実現すれば、旧統一協会が政治上の権力を行使できるようになります。旧統一協会の狙いは自らを日本の「国教」にして政治権力を行使することです。2012年の自民党の憲法改正草案のような憲法改正がなされれば、旧統一協会の教義に基づく政治も憲法違反と言えなくなります。
「自衛隊明記の憲法改正」も旧統一協会の影響を否定できません。
安倍元首相が自衛隊明記の憲法改正を主張したのが17年5月でした。旧統一協会が同様の主張をしたのは同年4月です。安倍氏は9条2項を削除した上での自衛隊明記を主張していましたが、突然、2項をそのままで自衛隊明記を主張したのは波紋を広げました。
1カ月前に旧統一協会が主張した影響を安倍氏が受けていないと言えるでしょうか?
●自民改憲論認めない世論を
以上のように自民党は選挙や憲法改正運動で旧統一協会の支援を受けてきました。自民党が主張する憲法改正論も旧統一協会に有利になり、その影響を否定できない内容です。
多くの日本の市民の幸福と家庭を崩壊させてきた、反社会的団体である旧統一協会の支援を受け、その影響を受けてきた自民党の改憲論を絶対に認めてはならないとの世論を作り上げることが重要です。
そして、憲法審査会では自衛隊明記の憲法改正、緊急事態条項、家族条項などが旧統一協会の影響を受けていないと言えるのか、自民党を徹底的に追求し、自民党に説明責任を果たさせることが必要です