会社のパソコン壊してしまいました…

        新人から質問

 編集委員会宛に「新入社員ですが、会社のパソコンを誤って壊してしまいました。弁償が必要ですか?」との問い合わせがあり、竹村和也弁護士に聞きました。以下がその回答です。 


 必ずしも弁償する必要はありません。仮に、弁償する場合でも、全額ではありません。

 労働者が働いているなかで、会社の備品などを壊してしまうことはあります。そのような場合でも、故意または重過失によって壊したような場合でない限り、労働者は弁償しなくても良いという考えが支配的です。会社は、労働者の就労によって利益を得ているのですから、その就労によって生じた損害は負担すべきだ、という考えです。

 パソコンを壊してしまったとのことですが、通常の使用方法で壊れてしまっても、労働者は弁償する必要はありません。仕事のために持ち運んでいる際に、誤って落としてしまった場合も同様です。わざと落としたりしない限りは、弁償する必要はないと考えるべきです。

 仮に、労働者が弁償すべき場合にも、それは損害の公平な分担という観点から、相当と認められる限度となります。全額の弁償をする必要はありません。

 なお、会社が、賃金から一方的に弁償金を差し引くことは、賃金全額払いの原則に反して許されません(労基法24条1項)。

 

 もし、パソコンなど、会社の備品を壊してしまった場合でも、以上のことを念頭において会社と話し合う必要があります。