雨宮処凛の「世直し随想」


 困窮者の年末年始

 

 2023 年が明けた。

 3年ぶりの「行動制限のない」年末年始、あなたはどう過ごしただろうか。久々に海外旅行をしたという人もいれば、長らく帰省していなかった実家に行ったという人もいるだろう。

 私はといえば、例年通り年末年始の炊き出しや困窮者の相談会の現場にいた。

 厳しい年末年始だった。なぜなら、前回、前々回の年末年始、東京都では住まいのない人に無料でホテルが提供されたのに、今回はなかったから。

 この2年、ネットカフェ生活者を支援する東京都の窓口「チャレンジネット」が年末年始も開庁 (全ての日程ではないが)、支援者はその隣の公園で「コロナ被害相談村」を開催した。相談を受け付け、年末年始を路上で過ごさざるを得ない人たちとチャレンジネットに行き、年明けまで暖かいホテルに泊まってもらった。そして年明け、生活保護申請に同行し、生活再建につなげるという流れができていた。

 しかし、今年はそのホテル利用が中止。おそらく予約でホテルが埋まり、値段が高騰していることもあるだろう。「全国旅行支援」のようにお金のある旅行者は支援するけれど、住まいがない人は路上に放置するという、あまりにも残酷な事態である。

 ということで、住まいのない人はネットカフェに泊まってもらった。11月から路上という高齢男性や、大みそかに路上生活となった若者など、いろいろな人に出会い、悲鳴を聞いた。今年こそ、どうか彼ら彼女らが安心して生活できますように。そう願わずにはいられない。