「大阪・関西万博」が「IR」に化けるとき。

 誰が嗤うのか!!  9兆円も使ってする「お祭り」と「カジノ禍づくり」

 

           山口 道宏

 

 


 やまぐち・みちひろ  ジャーナリスト・元星槎大学教授  主著に『老夫婦が独りになる時』『東京で老いる』『男性ヘルパーという仕事』『無縁介護』『申請主義の壁』『ドキュメント ひとりが要介護になるとき。』がある。日本ペンクラブ会員。 


  なぜ「関西」の2文字がはいるのか?? 

 関西の他の自治体首長の顔は見えない、最初からヘンな「お祭り」だ。

 開催まであと一年に迫った「大阪・関西万博」。テレビ画面の吉村大阪府知事は臆することなく開催への抱負をのべている。しかし多くの視聴者は知っていた。その数日前に「玉川は(万博に)入れない」と暴言を発し謝罪したばかり。どうもこの人は首長の前に大人になりきれないタイプの典型のよう。万博批判のテレビ朝日の玉川コメンテーターを意識しての失言らしいが、いつから「万博」がお前のものになった!! と観る側も突っ込みたくなるくらい呆れた発言だった。

 

 やっぱり似ている!! 

「東京五輪」は「東北復興」で始まり「大阪・関西万博」は「のと復興」を掲げる。

「それでも万博」は「それでも五輪」と律義なほどにそっくりだ。

「大阪・関西万博」は「のと復興」というが「東京五輪は東北復興」と同じキャンペーンだ。東京五輪はコロナ禍のさなかだった。マスク、無人、利権の中での「お・も・て・な・し」は記憶に新しい。「大阪・関西万博」は今回の能登地震に哭いている人々に元気をもたらす(?) という。

 

 「大阪・関西万博」の跡地は「IR」(Integrated Relations 総合型リゾート)に転用する。

 大阪は横浜と違いIR推進の自治体だった。ただし「大阪・関西」というも万博は国策だから税金が投入される。予算は政府発表で約1兆円とか(2014.12現在)、それだけでものけぞるが、万博後を見据えた「インフレ整備」を加えたら、なんと9兆円という驚愕な数字も報じられる。

 経費は言うまでもなく、経済界からの一部を除けば、全てが国税+大阪府・市税だ。

 「それでもIR」は「それでも五輪」と一緒で、始まる前から大赤字が予測される国策プロジェクトだ。「大阪・関西万博」で「能登復興」など、不適切にもほどがある。

大阪の府・市民は随分と物分かりがいいのか。サイフはひとつ、やがて大阪府・市民の地方税のアップか、くらしのカットか。

 

 「始めたらやめられない? 青島幸男氏の「中止」決断から万博を考える」(毎日新聞2024.2.5)。30年前、世界都市博覧会(「都市博」)を中止決定したのは開幕1年前の1995年で、新しく都知事に就任した故・青島幸男だった。

 イケイケどんどんの「臨海副都心開発」の抜本見直しから「都市博は意味を失っている」と決断。政治の世界では中止の決定は進めることの数倍のストレスというが、青島は実行した。

 まだ間に合う「中止」の決断だ。

 多額の血税を使って万博強行とカジノ禍づくりか!!

 「大阪をカジノの街にしてはあかんで」と、怒れ!! 大阪のおばちゃんの出番だ。