スポーツ賭博導入に、あなたは賛成? 反対?


           玉木 正之        


 たまき・まさゆき スポーツ文化評論家,日本福祉大学客員教授。著書に『スポーツとは何か』(講談社現代新書)など多数。近刊は「真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球」(編・著、岩波ブックレット、2023年)


 今月もスポーツ賭博(ベッティング)について書く。

 ドジャース大谷選手の元通訳・水原一平氏の賭博依存症で「悪者」になった観のあるスポーツ賭博だが、実は合法化していない国のほうが珍しく(G7では日本だけ)、日本のスポーツも、プロ野球やJリーグ・Bリーグだけでなく、高校野球までが海外では賭けの対象にされていて、日本語のホームページまで開設され、多額のお金が飛び交い、他国の賭け屋(ブックメーカー)が儲けている。

 日本でも合法化すれば約7兆円の売り上げが見込まれ、低く見積もっても(余剰金を25%としても)約1兆7千億円のスポーツに関する財源が生まれるという試算もあるくらいだ。スポーツ庁の国家予算は約361億円(令和6年度)だから、多額の(50倍近い!)スポーツ振興や選手強化に使える予算が生まれることになるわけだ。

 しかも合法化すれば、賭け金の上限を低額に規制することになり、また賭けの対象も勝敗だけではなく、個人成績や試合の展開など(サッカーならゴールする選手や、ゴールや選手交代の時間帯の予想、野球ならホームランの出る本数や投手起用人数など)さまざまな試合の要素を賭けの対象にすることもでき、賭博依存症や八百長の予防もやりやすくなるはずだ。

 さらに現在のプロ野球のように企業やメディアが球団オーナーになっていると、親会社の取引関係や上下関係から公平な賭けが行えないという危惧も生じるため、プロ野球の各球団は親会社の支配を脱皮し、Jリーグや欧米のスポーツチームのように、独立した企業体に、親会社は協力企業(スポンサー)に再編され、プロ野球界の健全化も進むだろう……。

 とはいえスポーツ賭博に対して反対論もあるはず。これから意見を闘わせましょう。