雨宮処凛の「世直し随想」

 

 

     困窮者に冷たい小池都政


 あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。


 もうすぐ都知事選だ。

 蓮舫氏が立候補を表明したことには驚いたが、すぐに都庁下で毎週土曜日に開催されている食品配布を視察したことにも驚いた。コロナ前から開催されている食品配布には、700人ほどが並び、若いカップルや家族連れ、女性の姿も目立つ。蓮舫氏が視察に訪れた6月1日、並んでいたのは実に770人。

 この食品配布、コロナ禍初期には都の妨害に遭っている。三角コーンが置かれるなどして並ぶ人たちを排除するようなことがなされたのだ。嫌がらせは5週連続で続き、6週目に終わったものの、食べ物を求めて並ぶ人たちを排除するようなやり方には怒りを感じた。都がすべきはそんなことではなく、民間団体の善意に頼っていることを恥じ、支援を拡充することではないのだろうか。

 コロナ禍、そんな場面はいくつもあった。例えば私は東京都にコロナ禍での困窮者対策について、申し入れや要請をしている。特に第5波の最中、路上の人からコロナ陽性者が出た際には、住まいも保険証も住民票もない人が陽性になった場合の想定すらされていないことが露呈。せめて優先的に療養ホテルに入れることなどを都に要請したものの、特に改善はなされず。同時期、東京オリンピックが華やかに開催されていて、まるでパラレルワールドに迷い込んだような気持ちだった。

 振り返れば、困窮者に冷酷だった小池都政。それがどうなるのか、都知事選を前にできることを考えている。