松崎菊也「フドートク主義」宣言

 

        身もふたも取っ払った全方位攻撃の夏

     


 まつざき・きくや 戯作者 コント集団「ザ・ニュースペーパー」リーダーを経てTBSラジオ「松崎菊也のいかがなものか」のパーソナリティ等ラジオテレビでも活躍。現在は執筆活動のほか政治風刺ライブなどを行なう。日本大学芸術学部卒


  

 「毎日暑いですね」会う人がみな言う。「夏だからね」と返したいんだが、身もふたもないから言わない。

 我慢するのは身体に悪いが我慢している。都知事選に立候補して落選した連中の身もふたもなさはどうだ。

 梅雨明け前に咳と高熱が続き、病院に駆け込んだらコロナとインフルエンザの検査は陰性だった。レントゲンを撮ったら影が見つかり、細菌性肺炎と診断されて緊急入院した。対肺炎ピンポイント攻撃抗生剤を一週間、東京都知事選の投票に行けなかった。たしか病院からでも投票できるのではなかったかと看護師さんに尋ねたが、もう締め切った後だった。入院していたのが都立病院なので「現職に投票しない人は受け付けないんじゃ?」と皮肉ったらハハハと笑って、

 「都立とは名ばかりで、とっくに民営化されて医療法人になりましたよ。赤字医療分野はカットです。マツザキさん、そういう皮肉を言えるようになったんだから退院ですね」と言われた。

 医療現場はジワリとコロナが再流行し、発熱と咳を伴う治りにくい夏風邪に加え、毎日熱中症のジジババが救急搬送されて来る。選挙どころではないのだ。

 優劣で人を貶め、決して謝らないどっかの元市長やら、我慢という蓋を取っ払った元議員が全方位に口をとんがらかすクソ暑いシャバに出て、暑中見舞い葉書を交わして日頃の無沙汰を詫びつつ人を思いやっていた日々が、はるか昔のような気がする。