雨宮処凛の「世直し随想」

 

 

     猛暑が招く行動変容


 あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。


 この原稿を書いているのは7月末。

 すでに命の危険を感じるほどの暑さである。

 本日も東京は35度超え。数日前まで帰省していた北海道も「猛暑」だった。私が北海道にいたのは高校卒業までなので約30年前。あの頃、エアコンがある家なんてなかったし、真夏でも夜になれば涼しく、「寝苦しい夜」なんてほぼなかった。しかし、今やエアコンは北海道でも必需品。また、外に出ると田舎ゆえ、建物が少なく日陰がない。都会だとあちこちにコンビニや商業施設があるので涼めるが、そんなものもないので意外と熱中症リスクが高い。

 毎年「猛烈な暑さ」を更新し続けている夏だが、今年はそこに突然のゲリラ豪雨と雷も加わり、すでに2回、東京の自宅で停電を経験している。1分も経たずに復活したものの、怖かったのは「エアコンが消えっぱなしになったこと」だ。照明や冷蔵庫なんかは再び自動的に作動するが、エアコンは停電すると消えたまま。

 「つければいいじゃん」という声が聞こえそうだが、うちには可愛い猫がいる。一人暮らしの私が不在の時、もし停電が起きてしまったら。猫の命が危険に晒(さら)される可能性があるではないか。

 最近は、エアコンを遠隔で操作できる的なものもあるらしいが、昭和生まれにはよくわからない上、それって停電になった時に使えんの? という不安もある。とにかく、夏のうちはあまり遠出しないようにしよう。猛暑によって、こうして行動パターンも変わっていくのだろう。