斎藤貴男「レジスタンスのすすめ」
大丈夫かJR?
さいとう・たかお 新聞・雑誌記者を経てフリージャーナリスト。近刊「『マスゴミ』って言うな!」(新日本出版、2023年)、「増補 空疎な小皇帝 『石原慎太郎』という問題」(岩波現代文庫、2023年)。「マスコミ9条の会」呼びかけ人。
あまりの混雑で、改札口がどこにあるのかもわからない。やっとの思いで通り抜け、何があったのかと駅員に尋ねたら、「上りの車両が止まっているから、それが到着しないと」なんて、意味不明の答えが返ってきた。
11月23日午前9時30分頃の東京駅。東海道新幹線のダイヤが大幅に乱れていた。
なぜなら8時頃に上りの新幹線に異常を知らせる表示があり、京都~米原間で車両点検が行われているという。でも下り列車には問題がないので大丈夫――とは別の駅員の話で、その場の全員に向けた公的な説明はなかった。
はたして私の乗った「のぞみ」は快調に飛ばし、名古屋駅を通過した。これなら予定通りに新大阪で在来線に乗り換え、神戸での仕事に間に合うと胸をなで下ろした瞬間。
「京都駅到着が40分から1時間遅れる見込み。その先はさらに遅れるかもしれない」
との旨の車内アナウンス。冗談じゃない、何を今さら!
慌てて乗務員を捕まえ、いったい何がどうなっているのかと質したが、「下りの新幹線も京都駅で詰まってるんですよね。今日はたくさん走ってるんで」と、またしてもわけがわからない。
新幹線というのは、勝手に湧いて出てくるものなのか? 異常事態発生の可能性があれば点検するのは当然だし、混乱しているのも理解できるにせよ、どうしてJRの人たちは、「ご迷惑をおかけします」の一言が言えないのだろう。
結局、私の神戸入りは1時間以上も遅れた。相手が事情を呑み込んでくれたので事なきを得はしたのだが――。
東海道新幹線はさる7月にも、名古屋駅と浜松駅の間を終日運休させている。この時は保守用車両の衝突が原因だったとされるが、近頃はこういうことが多すぎる。
11月の車両点検では上り線9本が運休。上下線259本に遅れが出て、約24万人の乗客に影響があったという。